一番最初に行われたセッションは「web creators」による「あなたのWebを魅力的に仕上げるIntuos活用法」だ。今、Webデザインのトレンドである「アナログ感」とそのトレンドを実現するためのIntuosの活用方法がテーマで、Webページを魅力的に仕上げるための最新のノウハウとテクニックが1時間にわたって紹介された。登壇したのはアートディレクター兼デザイナーとして活躍しているサンデイデザインの古沢伸明氏と、企業のサイトや女性向けコスメ関連のサイトのデザインで活躍しているWebデザイナーの田中クミコ氏。
まず最初に紹介されたのは「今どんなWebデザインが流行しているのか」だ。Webデザインのトレンドを古沢氏が解説した。
例にしたのは赤と黒と金色を基調とした力強い男性向けのエネルギードリンク「ROCKSTAR ENERGY DRINK」のWebサイトだ。「ARE YOU READY?」と描いてあるキャッチコピーにはかすれたようなデザインが入っており、こうしたアナログ感があるWebデザインがトレンドになりつつあると語った。
「なぜ、アナログデザインがトレンドかというと、今までWeb 2.0という言葉が流行したときに、アップルがMac OS Xで採用したAquaのボタンをデザインのようなグラデーションのかかったつやっぽいデザインがもてはやされました。しかし、最近はそういう表現だけでは足りないと感じられています。そこで、こういったタイトルの部分以外のべた塗りの部分にちょっとかすれなどのポイントを入れて、全体はかっちりしているのだがちょっとアナログのデザインが入っている。このようなデザインが1つトレンドになっていると思います」(古沢氏)
次に、独立行政法人の国際協力機構「JICA」のWebサイトでは、アナログ感のある水彩画のタッチが非常に優しい雰囲気が特徴のデザインと紹介。こういった“人と人とのふれあい”や“まごごろ”といった優しい雰囲気を感じさせるアナログ感も、Webデザインのトレンドだと語った。
田中氏からは、女性受けするデザインの紹介が行われた。
「“スキンケア大学”という難しそうな名前で割とかっちりした構成ですが、随所に手描きの枠やイラストなどの柔らかさを出し、女性に受け入れられやすいテイストに仕上げられています。インナーウェアのスペシャルサイトは、フルフラッシュに吹き出しやイラストなど、手描きを多様した文字を合わせて、柔らかさを出していますね」(田中氏)
では、“アナログ感”をどのようにすれば表現できるのか。古沢氏と田中氏による具体的なテクニックを続いて紹介した。
古沢氏は架空のレコード会社のサイトを例に、ロックミュージックやヒップホップなどストリートミュージック的なラフな感じのアナログテイストをIntuosで表現するための方法を披露した。
「IntuosとPhotoshopのカスタムブラシを使って汚しを付ければ、アナログテイストの雰囲気を簡単に作り出すことができます。特に、Intuos 4から新しくタッチホイールが搭載され、ブラシサイズを手元で直感的に変えながら描くことができるようになりました。また、筆圧によって微妙なインクの飛び散った感じを描くことができます。インクが垂れた部分は、Shiftキーを押しながら下にまっすぐ線を描きますが、このときに筆圧を変えることにより、細くしたり太くしたりちょっとリアルな感じが出せます。最後は線がかすれる感じに筆圧をうまくコントロールしながら描くことが可能です」(古沢氏)
田中氏は架空の料理のレピシのサイトを使って、手描きで味のあるタイトルロゴの制作方法を紹介。Photoshopの「テキスト」ツールで打ったロゴは素っ気ない仕上がりになるが、Intuosを使って手描きの味のあるロゴを実現できる。「ブラシ」ツールを使いIntuosで普段使っているアナログのペンで描いているような感じで手描きの文字を描くと、アナログをスキャンして取り込んだようなロゴをあっというまに完成させた。
「手描きでタイトル文字を描くコツなのですが、筆圧のかけ方は普段ボールペンやクレヨンを持った時の感じで、特にペンタブレットだからといって意識することはありません。いつも普段描いているような感じで、トライアンドエラーです」(田中氏)
最後に古沢氏が「Flashコンテンツの制作」を紹介。IntuosとPhotoshopの「ブラシ」ツールや「スプレー」ツールの筆圧を使って、スプレーを吹きかけられて消滅するような場面転換を実現する方法を披露した。
いままでWebにアナログ感覚を表現したくても「どうしたらよいのかわからない」と思っていたデザイナーも多かったはず。今回のセッションは「Web制作でペンタブレット」という意外なアプローチから、ずばり納得のいくアドバイスを頂いた感覚に聞こえたはずだ。Webデザインの現場でもIntuos が必須のツールとなりそうだ。